人間、何十年も生きている限
り生まれてから死ぬまで、喜
びしかなかった、という人生
を送った人は稀でしょう。

戦地で生まれて、そのまま大
人になって幸福という言葉も
知らずに亡くなってしまった
人や、

貧困から抜け出すために想像
を絶する努力をしても劣悪な
環境を変えられず死んでしま
った人。

家族に楽をさせてあげたいが、
望みは達せられず挫折して這
い上がれず亡くなってしまっ
た人。

幸福をつかんだと思ったら不
治の病にかかったり、交通事
故に巻き込まれて寝たきりの
まま人生を終えてしまう人・・

多くの人々は栄光と挫折を繰
り返しながら生き、そして死
んでいった。

悔しいことに、時代や運に左
右されるのは残念でなりませ
ん。

グリシュク&プラトフ組

1994年リレハンメル 
金メダル
1998年長野オリンピック
金メダル
1994~1997年世界選
手権4連覇。

数々の偉業を成し遂げた二人
です。

1998年長野オリンピック
フリーダンス。
亡き人々に捧げるレクイエム
(安息)。

人生には様々な難題が待ち受
けている。

多くの夫婦はいろんな苦労を
重ねながらも苦楽を共にして
同じ方向を見て寄り添いなが
ら老いていく。

その過程を見せながらメモリ
アルの曲に乗って、亡き人々
に敬意を捧げる二人のスケー
ターを見た時、ついに氷の神
が銀盤に降臨した!

そしてグリシュクとプラトフ
は神の化身となり、レクイエ
ムを高度な技で発信していく。

二人の演技が進むにつれ、見
ている自分自身の今までの歩
みも思い出す。

辛かったことや楽しかったこ
とも・・
よくこれまで生きてこれたん
だと自分が愛しくなり自然と
涙がゆっくりと流れ、演技が
最後になると号泣に近いもの
になっていました。

これほど泣かせるプログラム
がいまだかってあっただろう
か?

私を含めてこのプログラムで
多くの人が魂を揺さぶられま
した。

1998年長野オリンピック
フリーダンス

メモリアル グリシュク&プラトフ

完璧な演技に感極まり号泣す
るグリシュク。

グリシュクの衣装で胸に大き
な十字架が刺しゅうされてい
たのが印象的でしたね。

そしてレクイエムを世界の人
々に伝えることができたこと
を喜ぶプラトフ。

演技が終わった瞬間、観客席
から満点6.0の文字が高々と
上がり、解説者も「これが世
界チャンピオンの演技です」
と絶叫していました。

そして数多くのスケーターを
メダリストに育て上げた名コ
ーチのタラソワも両手を広げ
て感涙し、グリシュクとプラ
トフをねぎらった。

演技者、観客、解説者、コー
チ、関係者、会場全体が一体
になり熱狂的興奮で沸き返っ
ていました。

私もこの二人を見てアイスダ
ンスって凄いな、ここまで表
現できるんだ!

また、二人でなければ表現で
きない部分もあるんだと知ら
され、さらにアイスダンスの
虜になりました。